g-3 違いを受け入れ合う親子関係

「ごめん…わたしの気持ち、全然わかってくれてない」
その一言に、ハッとすることがあります。

意見が食い違ったとき、本当に必要なのは「正しさの勝負」ではなく、「心が通い合う対話」かもしれません。
今回は、親子の違いを認め合いながら、穏やかな関係を築く方法をお伝えします。

親子でも、「考え方」や「感じ方」が違うのは当たり前。
でも、その“違い”をどう受け止めるかで、関係の深まり方は大きく変わっていきます。

ストーリー導入：
宿題を後回しにする息子に、「またゲームばっかり！」とつい声を荒げてしまった母。
息子は「ちゃんと時間決めてやってるし…」とむっとした様子。
「なんでこんなにかみ合わないの？」と母も疲れてしまう。

でも、子どもと親が違う考えを持っているのは、自然なこと。
年齢も、経験も、優先順位も違うのです。
「この子は、私と同じじゃなくていい」
そう思えるだけで、感情の負担がふっと軽くなることがあります。

会話例：
子「なんでスマホダメなの？みんな使ってるし！」
親「あなたが使いすぎてるのが心配なの」
子「ちゃんと時間決めてるってば！」
親「（落ち着いて）…そうか。自分ではうまく管理できてるって思ってるんだね」

自分の言いたいことを伝える前に、まずは「この子はどう感じているか」を探る。
それが、対立から対話への第一歩です。

たとえば、子どもが「わかってくれない」と感じると、ますます話さなくなります。
でも、「あなたの考え、大事にしたい」と伝えられると、子どもも心を開きやすくなるのです。

会話の土台は、安全な空気。
それは、親がまず「聞く」姿勢から生まれます。

親子でも、心がすれ違うことはあります。
でも、「あなたが大切だよ」というメッセージが伝われば、関係は回復できます。

例：
「ママはママの考えがあるし、あなたにもあるよね。
意見は違っても、あなたを大事に思ってることは変わらないよ。」

また、話し合ったあとで、「今日のこと、ちゃんと話せてよかったね。ありがとう」と伝える。
小さな感謝の言葉が、信頼を育てていきます。

さらに、目には見えないけれど、「祈る時間」も家族関係を整える力になります。
自分の感情を静かに見つめ、子どもを思って祈るとき、心にゆとりが戻ってくることもあります。

親子だから、わかり合えるとは限らない。
でも、「わかりたい」と願って近づく心があれば、少しずつでも関係は深まっていきます。

家庭の強さは、意見が揃っていることより、違いを対話できる関係にあります。

意見が違っても、心は離れない。
今日の会話の中で、そんな温かい実感がひとつでも生まれますように。

次回は【記事4】
「“ごめんね”が言える家族に」
― 親子や夫婦の間で、赦しとやさしさを育む方法をお届けします。