夕方、夕食の支度をしながら、ふとため息がこぼれる。
「今日も怒ってばかりだったな…」
寝室のほうから聞こえる子どもの笑い声に、胸が少し痛む。
「ちゃんとできてるのかな、私…」
子育てには、正解がはっきり見えない瞬間が何度もあります。
頑張っているはずなのに、自信が持てなくなることもある。
このシリーズでは、
「ブレない親でいるための“心の土台”」
を、ひとつずつ言葉にしていきます。
第2回のテーマは、
私たちが無意識に信じている“子供観” です。
夕方の公園。
すべり台の順番をめぐって、小さなトラブルが起こりました。
あるお母さんはため息をつきながら言いました。
「ほんと、子供ってわがままだよね。ちゃんとしつけないと。」
別のお母さんは笑いながら言いました。
「まあ、子供って自由で天使みたいなものよ。好きにさせとけば学ぶわ。」
離れたベンチでは、静かに見守るお父さんがつぶやきました。
「性格って生まれつき決まってるんだろうな。自分に似て頑固だ。」
どれも完全に間違いではない。
でも、どれもしっくりこない。
私たちが子育てに迷う理由。
それは、「何を信じて育てているのか」自分でも気づいていないからかもしれません。
🧠 子供についての5つの見方
子育ての世界には、昔からさまざまな考え方があります。
少し整理してみましょう。
● ①「子供は生まれつき悪である」という考え方
「放っておくと悪い方向へ行くから、厳しくしつけなければならない」
という古い教育観です。
良い点:責任感や秩序を大切にする
弱点:否定から始まりがち、愛情表現が少ない
● ②「子供は生まれつき善である」という考え方
ジャン・ジャック・ルソーに代表される思想で、
「子供は自由な存在。抑圧せず自然に育てるべき」というもの。
良い点:尊重され、伸び伸び育つ
弱点:境界線が曖昧になり、子供自身が迷うことも
● ③「子供は白紙である」という考え方
ジョン・ロックの思想。
「経験によって人格が形づくられる」という視点です。
良い点:環境作りが意識される
弱点:「正解通りに育てないと失敗する」と思いやすい
● ④「遺伝がすべてを決める」という考え方
「親に似るのは仕方ない」「性格は変わらない」という考え方。
良い点:受け入れやすい
弱点:成長の可能性に目を向けにくくなる
● ⑤「子供は環境を読み、自ら選ぶ存在である」という考え方
心理学者ピアジェらが提唱。
「子供は環境を観察し、解釈し、行動を選び取る」という視点です。
良い点:主体性を尊重
弱点:価値観が定まらないと迷いや不安が生じる
🌱どの考えも正しい。でも、どれも“全部”ではない。
子供には、
わがままな部分もあります。
でも、思いやりの心もあります。
遺伝の影響もあります。
でも、経験や学びで変わっていきます。
つまり——
子供は、ひとつの理論では説明できないほど尊い存在。
そして実は、
親である私たち自身も同じなのです。。
👀 無意識の“子供観”は、行動に表れる
たとえば、あなたはこう感じたことはありませんか?
- 「ちゃんとしなきゃ」
- 「甘やかしているかもしれない」
- 「このままでいいのかな?」
- 「他の家庭と比べてしまう」
それは、
価値観のせいではなく、価値観が混ざっているから。
迷いが生まれているのです。
🧭 一度、「正しさ」を手放してみませんか?
子育てで本当に大切なのは、
「どの理論が正しいか」ではなく
「何を土台に育てたいか」
を考えること。
答えがすぐに出なくても大丈夫です。
その問いを持つこと自体が、子育てを変え始めます。
その問いを持つだけで、子育ては静かに変わりはじめます。
📌 この記事のまとめ
- 子育てには様々な価値観や考え方が影響している
- どれも部分的に正しいが、ひとつだけが正解ではない
- 親が迷うのは「基準が混ざっている」から
- まずは“自分が何を信じて育てたいのか”に気づくことが第一歩
子育ては、答え合わせではありません。
育てながら、親も学ぶ旅です。
次回は、
「その旅を支える“揺るがない土台”について」 ゆっくり話していきます。
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▶ 次回予告
次回は、
「子育てに迷わない“揺るがない土台”とは?」をテーマにお届けします。
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